オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングによって疲労が蓄積し、回復しにくくなる状態で、その慢性疲労により運動能力や競技成績が低下することがあります。
その症状は、「精神面」と「身体面」に分けられます。
○精神的症状
精神的な症状はトップアスリートやプロスポーツ選手に多く見られます。
競技力向上のための過度な運動や練習による疲労が回復せずに蓄積し、全身の倦怠感やトレーニング時の集中力の欠如が起こります。
そのような状態では練習の効果も上がらず、また周囲から良い競技成績を期待されることが焦りやプレッシャーとなり、精神的に追い込まれます。
ひどい場合は重篤な精神異常に陥ることもあります。
最近では、柔道の井上康生選手がこれにより金メダルが期待されたアテネオリンピックで敗退したとも言われています。
○身体的症状
また、身体的な症状として疲労骨折やスポーツ障害(剥離性骨折やオスグット病など)の器質的な変化を伴う「オーバーユース症候群」と、慢性的な疲労の症状として現れる全身、または体の一部に起こる筋・腱・関節の痛みなどの機能的な変化があげられます。
しかし、運動にはオーバーユースと背中合わせとなる「過負荷(オーバーロード)の原則」があります。
これは、運動の効果をあげるための大原則で、日常の身体活動より高い強度の運動をすることにより、トレーニング効果が得られ、体力がアップするという理論です。
効果を得るために、ある程度の運動負荷は必要になりますが、一歩間違えるとやり過ぎによる弊害があることも否めません。
現代社会は便利になり過ぎて、多くの人は運動のやり過ぎより、活動が不足する傾向にあります。
また、運動不足による糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣病を患う人が増加する一方です。
アスリートでない限り、オーバートレーニングやオーバーユースを引き起こすことは殆どありませんが、人間は生身の体。ロボットのように壊れたから取り替えることはできません。
常に疲労度をチェックし、そのサインを見逃さないことが大切です。
また、疲労回復のための栄養と休養も欠かせません。
運動することは健康状態を保つだけでなく、爽快感や達成感を体感できます。
更に、仲間と一緒に身体を動かすことができれば、楽しみや継続する励みにもつながります。
是非、楽しく運動することを心掛けてください。