心身機能の低下をきたし介護が必要になる原因をみますと、最も多いのは「脳血管疾患」であり、特に男性において高い割合となります。
こうした血管の病気を予防していくためには、ウォーキングを始めとする有酸素運動が効果的です。
有酸素運動は消費エネルギーが高く、肥満改善、血糖コントロール、血圧管理に有効であり、動脈硬化を予防します。
一方、女性においては「衰弱」や「転倒・骨折」が介護が必要になった原因の3割以上を占めています。
女性は男性に比べ筋力の低下や骨密度の減少が顕著であるため、筋力維持の必要性が高まります。
特に主要な筋群を補強する筋力トレーニングを行っていくことが大切です。
「廃用症候群(生活不活発病)」という言葉をご存知でしょうか。
これは身体を動かさないことによって、全身のあらゆる器官や機能に生じる「心身機能」の低下であり、高齢者に特に起こりやすいものです。
高齢者の健康づくり運動のポイントは次のとおりです。
1 持久性の運動:心臓、肺、循環器系の機能が改善し、動脈硬化の予防につながります。
(1)ほぼ毎日30分以上の運動を行いましょう。
(10分間以上に分割してもかまいません)
(2)息がきれるほどの運動はいけません。「楽である」と感じるペースで行いましょう。
2 筋力づくりの運動:座る、立つ、歩くなど、日常生活動作に必要な筋力を養います。
(1)主要な筋群を週2回以上鍛えましょう。反復回数は8~15回が目安です。
(2)力を入れているときには息を吐き、呼吸を止めないようにしましょう。
3 バランス運動:要介護の大きな原因の1つである転倒の予防につながります。
(1)机や椅子につかまりながら左右交互に片足で立つなど、バランス運動を取り入れましょう。
(2)他の人に付き添ってもらうなど、転倒には十分に注意しましょう。
4 柔軟性の運動:関節の可動域を向上させ、腰痛や肩こりなどの予防につながります。
(1)伸ばしている筋肉を意識しましょう。伸ばした姿勢で15~30秒間保ちましょう
(2)息をこらえずに、ゆっくりと呼吸しましょう。
(3)痛みのない範囲で行いましょう。